湘 南 の 家
Shonan House
湘南の家
海までほど近い住宅地。街を歩けば家々の庭から伸びる松の木々から海の気配を感じ、心地よい風が通る。この地で生まれ育ち、近くの親戚や友人を呼んで料理やおもてなしをすることが上手な施主のために、ここでふさわしい家を考えたい。
まず、海の近くにたつ素朴な木の小屋を思い描く。それを原型として、街の小さな交差点への身振りを意識しつつ、ベースとなる総2階の切妻形を内外部の諸々な機能的要因により形を変形させていく操作を行って形が決まっていく。具体的には玄関、キッチン、車庫といった部分を張り出す形となった。
交差点の角部分はアプローチ(兼 客用駐車場)として空地を設けることにより街路に広がりを与えつつ、奥に控えるメガホン状の玄関が来客を出迎える。来客をもてなし、そして共に楽しむ場所であり、また司令塔とも言えるキッチンは「奥」ではなく「前面」にあり、食卓にもアプローチにも庭にも近い場所にレイアウトした。庭を取り囲むように建物をL型に回すようするために車庫を配置して、隣家の裏側を隠しつつ、建物に抱かれた落ち着きのある外部空間を用意している。なお、庭には大きな木製門扉がありそれを開ければ街路と積極的につながる使い方が可能である。
素朴な小屋として、床根太や梁を現し建築が本来持ち合わせているありのままの美しさを見せており、間仕切りの少ない空間の中で整然とした規則性と連続性を表した。地元工務店の積極姿勢により、構造材は県産材を使用しており、この地の木に包まれる心地よさを感じられるだろう。
敷地と施主にとってのあるべき自然な形を追求し、家に包まれつつも外との心地よいつながりを感じられる家を目指した。
所在地 神奈川県 建築設計 八木建築研究所
主要用途 専用住宅 構造設計 増田建築構造事務所
構造規模 木造 2階 施工 キリガヤ
敷地面積 246.06㎡ 竣工 2018年10月
延床面積 181.74㎡ 庭 アウトテリア民園