芝 川 町 の 家
Shibakawa House
芝川町の家
静岡県の山あい、小川と小道の分かれ目に立つRC造3階建ての住宅である。温泉旅館を営む施主は、旅館の隣に独立した新居を建てることになった。
リビングにコンクリート打放しの壁がある吹抜がほしい。ゲストと共に多目的に使える広いルーフテラスがほしい。そこへ上がるエレベータがほしい。冬には向かいの山の陰になり日当りが悪くなってしまうがなるべく日の入る家にしたい、という要望であった。
1階を車庫と作業場(納屋)に充て、住居部分を上階へ持ち上げ、吹抜を設け、ハイサイドライトをあけて高い箇所からの充分な光を確保する。光を求める垂直性は形にも表れるべきと考え、地面から上へ上へと伸びあがる縦長形が合わさった外観形状となるよう意図している。単一のボリュームでないことは、建物の高さのわりに周囲に与える威圧感が軽減される効果もあるだろう。また、高床であることは川の増水に対する安心感にもなる。
直通階段やエレベーターといった竪シャフトはストレートに外観に表わし、住宅内部からの機能的な理由によるメインボリュームからの張り出し部分は上下階で揃えて縦ラインを通している。それら縦長の各ボリュームに板金とコンクリートという異なる外部仕上材を割り当て明確に切り替えた。吹抜のコーナー窓は下階よりセットバックした位置にあることにより、より高い角度からの光が内部に入射できるようになっている。生活の場となる2階は主として家族で使う部屋や水回り、3階は寝室・子供室といった個室が並び、共に田の字型のプランとなっていて、明るい吹抜空間を軸に生活が展開できるような平面計画とした。
山に囲まれた川沿いという土地条件から現れる住宅の形を考えることが出来たと思う。
所在地 静岡県 建築設計 八木建築研究所
主要用途 専用住宅 構造設計 増田建築構造事務所
構造規模 鉄筋コンクリート造 施工 紅林建設
3階+塔屋 竣工 2015年4月
敷地面積 261.83㎡
延床面積 202.21㎡